投資信託には、分配金がある銘柄と分配金がない銘柄があり、銀行や証券会社の担当者は分配金ありの銘柄をすすめるし、「分配金ありと分配金なしはどちらが良いの?」と疑問に思われる人も多いと思います。
分配金ありや分配金なしの投資信託には様々なメリット・デメリットがありますが、「誰にとっても分配金なしの投資信託の方が良い!」と言えます。
今回は、なぜ分配金ありより分配金なしの投資信託の方が良いのかについて「メリット」や「デメリット」も踏まえ、わかりやすく説明していきたいと思います。
分配金とは?
分配金とは、投資信託の純資産の分配可能原資の中から定期的に投資家へ支払われるお金です。
純資産とは投資家から預かり運用しているお金で、分配可能原資とは純資産の中で分配金として支払うことができるお金のことです。
分配金は、基準価額が上がっても下がっても投資家に支払われるため、運用による利益から支払われる場合もあれば、投資家から預かった元本から支払われる場合もあります。
運用による利益から支払われる分配金のことを「普通分配金」といい、課税対象となります。
投資家から預かった元本から支払われる分配金のことを「元本払戻金(特別分配金)」といい、課税対象となりません。
分配金ありと分配金なしの例
分配金ありと分配金なしの例をアメリカの代表的な500銘柄の株式指数であるS&P 500の平均利回り7.2%を使って紹介します。
元 本:100万円
利回り:7.2%
期 間:20年間
分配金ありの場合
毎年7.2%の分配金が20年間支払われる場合
1,000,000円 × (100% + 7.2% × 20年) = 2,440,000円
20年後の資産合計:2,440,000円
上記のグラフを見てわかるように、分配金ありの場合、元本の増加率は一定になります。
このような運用方法を「単利運用」と言います。
分配金なしの場合
毎年7.2%の利益を再投資して20年間運用される場合
1,000,000円 × 107.2% ^ 20年 = 4,016,943円
20年後の資産合計:4,016,943円
上記のグラフを見てわかるように、分配金なしの場合、元本の増加率は毎年上昇していきます。
このような運用方法を「複利運用」と言います。
複利運用の効果
上記の分配金ありと分配金なしの例を見てわかるように、利回り7.2%で運用した場合、20年間で単利運用と複利運用の利益の差は2倍以上になり、30年間で3.2倍、40年間で5.3倍になります。
期間が長ければ長いほど利益がどんどん膨れ上がっていくところが複利運用のすごさで、20世紀最大の物理学者とも言われるアインシュタインは「複利は人類最大の発明」と言ったそうです。
複利運用でお金が2倍になる期間が簡単にわかる便利な計算式があり、「72の法則」と呼ばれています。
計算式
72 ÷ 利回り=お金が2倍になる期間
例① 利回り7.2%で運用した場合、何年でお金が2倍になるか?
72 ÷ 7.2 = 10年
10年でお金が2倍になることがわかりました。
例② 利回り3.0%で運用した場合、何年でお金が2倍になるか?
72 ÷ 3.0 = 24年
24年でお金が2倍になることがわかりました。
分配金ありのメリット・デメリット
コスト(手数料)
分配金を出すための人件費がかかるため、手数料は割高になります。
コスト(税金)
分配金に対して黒字の時は税金を払うが赤字の時は税金を貰えないため(損失の3年間繰越控除を使わない場合)、累計課税額が高くなります。
リターン
単利運用により利益の増加率は一定のため、リターンは低くなります。
手数料や税金が高い分、リターンは低くなります。
分配金なしのメリット・デメリット
コスト(手数料)
分配金を出すための人件費がかからないため、手数料は割安になります。
コスト(税金)
売却する時だけ課税されため、累計課税額が安くなります。
リターン
複利運用により運用年数が長ければ長いほど利益の増加率が上がるため、利益がどんどん膨れ上がっていきます。
手数料や税金が安い分、リターンは高くなります。
まとめ
分配金ありの投資信託は単利で運用され、分配金なしの投資信託は複利で運用されています。
アインシュタインが人生最大の発明と言った複利運用の効果は絶大で、年数を重ねれば重ねるほどリターンが大きくなることがわかりました。
分配金なしの投資信託はコストである人件費や税金が安く、リターンが高いことがわかりました。
分配金なしの投資信託の方がメリットが多く、「誰にとっても分配金なしの投資信託の方が良い!」と言えます。
日本人みんなが投資を知り、勝てる投資をして、豊かな生活を送ることを願っています。